こんばんは!
長らくJR東海の特急型気動車として活躍してきたキハ85系ですが、今年3月のダイヤ改正で高山本線特急「ひだ」の運用から引退。
紀勢本線特急「南紀」としても1992年3月より30年以上活躍してきましたが、今年6月で運用から引退することが決まりました。
2月に「ひだ」には乗ってきたのですが、最後にキハ85にもう1度乗ろう!と決め、今回南紀1号(名古屋→紀伊勝浦)に乗ってきました。
今回はキハ85系特急「南紀」1号の乗車記となります。
どうぞお付き合い下さい😀
★出発前の様子
ここは南紀の始発駅である、名古屋駅です。
今回乗る南紀1号は名古屋駅を8時2分に出発し、終着駅である紀伊勝浦駅には11時56分に到着。
3時間54分かけて、関西本線→伊勢鉄道→紀勢本線を経由し、246kmを走破していきます。
「紀伊勝浦」って鉄道ファンならすぐ分かると思いますが、そうじゃない人はすぐピンと来ないのではないかと思います。
あの辺りだと「新宮」が大きな街ですし、紀伊勝浦なんて町はなく正確には「那智勝浦町」ですからね(^_^;
さて南紀1号ですが、
紀伊勝浦までは桑名、四日市、鈴鹿、津、松阪、多気、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲、熊野市、新宮の順に停車していきます。
南紀の停車駅は全列車一緒な気がします。
隣の11番線には7月から南紀の役割をバトンタッチするHC85系を使用した特急ひだ1号が停車していました。
ひだ1号は文字通り特急ひだの1番列車。結構乗車率は良かったですね。
7時50分、南紀1号が四日市側から入線してきました。
「ひだ」の時にはパノラマグリーン車に乗りましたが、南紀で使用されているこの非貫通顔車両は一般車(4列)でしかも、自由席として利用されています。
名古屋→紀伊勝浦の下り列車だと最後尾になってしまいますが、紀伊勝浦→名古屋の上り南紀の場合、こちらが先頭になり展望を楽しめます。
自由席で展望を楽しめるというお得な列車ということで、色々なYouTuberの方もネタにしていますね。
一方で紀伊勝浦側、先頭車両は貫通顔となっています。
貫通顔もこうやって見ると結構カッコいいですよね。力強さを感じます👍
コロナ前は4両編成で運行されていた南紀ですが、現在は2両編成が基本。
①自由席+②指定席の2両編成となっていますが、この日は1両増結の3両編成で①自由席+②指定席+③指定席の編成となっていました。
こういう臨機応変な編成が組めるのは気動車の良さですね○
それでも2両編成は特急としては少し寂しい感じもします。
では車内に入っていきましょう!
今回は「A席」をゲット。
海が見える座席、進行方向左側の窓側座席は「A席」となります。
3号車の座席の様子です。
座席は2+2の4列。通路より1段高いところにあるハイデッカー仕様。
もちろんグリーン車より足下は狭いですが、全く問題ない広さです。
(*座席の写真は新宮到着時に撮影)
★名古屋駅を出発
8時2分、定刻通りに名古屋駅を出発しました。
名古屋出発時の乗車率は95%ほど。平日金曜日でありますが、なかなかの乗車率。
外国人観光客もかなり乗っておりコロナの影響が薄れてきたことを感じさせます。
車内も賑やかです(^_^;笑
運良く?私の隣は空席で、終点の紀伊勝浦まで誰も乗ってきませんでした。
荷物棚の大きい荷物も目立ちます。
さて、鉄道旅と言えば駅弁。駅ホームの売店で購入します。
ただ朝であまり重い弁当は胃に入らなかったので、名古屋らしく天むすにしました。
「だるまの海老めし天むす」(720円)
かわいい天むすが5個、数がこれだけあるとサイズ感の割に結構おなかいっぱいになるもんです。
ご飯も海老めしということで、海老の風味がしっかりついていて美味しかったです。
ビールも買えば良かったと後悔....笑
これおすすめです。
関西本線を100km前後でかっ飛ばして、伊勢鉄道を経由していきます。
南紀や快速みえは伊勢鉄道経由なので、乗車券も伊勢鉄道経由で買わなければいけません。
乗車券と特急券を別々に買う場合(あまりいないと思いますが)、南紀に乗る旨か伊勢鉄道経由で、と伝えれば問題なしです。
私は今回諸事情により別々に買ったのですが、しっかりと話をしなかったため伊勢鉄道経由じゃない乗車券(亀山経由)を買ってしまったため、結局乗車前に変更しました。よく確認しましょう💡
9時15分、松阪牛で有名な松阪に到着。
名松線の乗換駅でもあります。
意外だったのですが、結構松阪での降車客がいました。
紀勢本線の快速みえは1時間に1~2本の頻度で走っているのですが、1番列車は名古屋駅発8時37分と割と遅め。
乗客の大半は新宮・紀伊勝浦と長距離の利用でしたが、近~中距離のビジネス輸送の役割も南紀、特にこの始発の1号は担っているのでしょう。
参宮線・伊勢市方面の分岐駅、多気を過ぎると車窓は市街地から徐々に山に変わっていきます。
途中の三瀬谷、ここでは誰も降りないかと思いきや、結構大きなリュックを背負った10人ほどが下車。熊野古道でも歩くのでしょうか??
津から多気までは最高速度100km/hで走行できますが、険しい山道が続く多気から新宮の間は最高速度が85km/hに下がります。
★紀伊長島からは....
10時18分、名古屋駅を出発して2時間16分、紀伊長島に到着です。
こんな感じで車外から紀伊長島の写真を撮ることが出来ているわけですが、紀伊長島では6分間の停車時間があるからです。
この南紀1号で停車時間がここまで長いのはこの紀伊長島のみ。
多くの乗客が写真撮影をしたり、外の空気を吸ったりリフレッシュしていました。
約4時間座りっぱなしはキツいですよね😅
紀伊長島は2面3線の比較的大きな駅です。
終着、紀伊勝浦まではあと1時間半ほど。
なぜ6分間の停車があるかというと、南紀4号との交換があるため。
こちらの南紀1号が紀伊長島を1分先に出発します。
しかし名古屋方面、10時25分の次が13時1分までないとは.....
紀伊長島を過ぎるとようやく海が見えてきます。
写真は「新鹿湾」、新鹿は「あたしか」と読みます。
新鹿海水浴場は「快水浴場百選」「日本の水浴場88選」に選ばれており、透明度の高い海と白い砂浜が広がっています。
天気が良かったらもっとキレイに見えたのに、この日は雨でした😢
熊野川の鉄橋を渡り、新宮城跡が見えてくると新宮に到着。
終着の紀伊勝浦まではあと20分ほどです。
新宮を出ると残りは20分ほど。
新宮~紀伊勝浦間は海のすぐ近くを走り、太平洋の絶景が広がります。
天気が悪くて残念ですが、この車窓は素晴らしいですよね。
本当に海が近い。途中で新大阪発のくろしお1号と交換を行い、まもなく紀伊勝浦です。
この車両は車椅子対応の大きなトイレがありました。
リニューアル工事をした?のかなという感じ、廃車にするのはもったいないなあと思ってしまいます。
★3時間54分、旅の終着点へ
11時56分、定刻通り終点の紀伊勝浦に到着です。
定刻通りの運転素晴らしいです、ありがとうございます👏
車内清掃・整備後、折り返し紀伊勝浦12時22分発南紀6号として名古屋へ帰ります。
発車までまだ20分以上ありましたが、自由席の乗車列はかなり列が長くなっていました。
最初に説明した自由席で展望席が楽しめるお得席です○
1時間後、外で昼食を済ませ駅に戻ってくると、HC85系が....!
4両編成で試運転を行っていました。
4両編成なら、再びグリーン車が復活することとなりますが、JR東海のホームページを見る限り基本は2両編成の運用となりそうです。
繁忙期を中心に2+2、2+2+2と対応していくと思うので、やはりグリーン車の営業は難しいのでしょうか😅
コロナも落ち着きを見せ観光需要が回復する中で、南紀が将来的に何両で運転されるのか(4両編成復活?)も注目したいところです。
何しろ4時間近くの長い乗車時間なのでグリーン車需要は高いと思いますし、普通車も含め全席コンセント設置のHC85は魅力的。ほんとコンセント欲しい。。
ちなみに紀伊勝浦は熊野那智大社の最寄り駅であり、駅構内のデザインも熊野那智大社をモチーフにしたものとなっています。
特急「南紀」の終着駅であり、特急「くろしお」も停車する紀伊勝浦ですが、1日の利用者数は342人(2019年)と意外と少ない駅です。
★競合を考える
乗車中、外を見ていて高速道路が建設されている様子を幾度と目にしました。
現在この南紀が走る区間では、
紀勢自動車道→熊野尾鷲道路→熊野道路・熊野大泊IC
までが自動車専用道路として開業しています。
結構南まで整備されているなという印象を受けます。
この先、熊野大泊ICから更に南側、紀宝熊野道路→新宮紀宝道路→新宮道路(約27km)が整備されると、名古屋→新宮までが高規格道路で繋がることとなります。
なおその先、新宮~勝浦~太地~串本も整備が進んでおり、将来的(2030年頃?)に紀伊半島一周が高規格道路で繋がる予定です。
現在、南紀の競合相手としては名古屋~新宮間を走る高速バスがありますが、こちらは途中一般道を走りながら名古屋~三重県南部の移動需要を拾っているので、そこまで速くなく名古屋~新宮間は4時間44分ほどかかります。
一方で自家用車を利用し最短ルートで移動した場合は3時間7分です(*NAVITIMEによる)。
★名古屋~新宮間の比較(現在)
・自家用車→3時間7分/4,120円(*高速料金のみ)
・高速バス→4時間44分/4,200円
・特急南紀→3時間32分/7,530円(*乗車券+指定席料金)
今後、新宮まで道路整備が進むと現状より10~15分程度の時間短縮が図られる見込です。
そうすると自家用車利用の場合は3時間かからなくなってきそうですね。
名古屋~新宮間の需要が果たしてどこまであるのかは分かりませんが、コロナも落ち着き世界遺産である熊野古道への観光客が多くなってくれば、名古屋~新宮の高速バスの速達便が設定されてもおかしくありません。
南紀は7月より新型車両であるHC85系が導入されますが、所要時間に変更はない見込です。
またHC85系導入に合わせて、南紀の紀伊勝浦乗り入れ廃止(=新宮発着)も噂されましたが、ひとまず現状維持のようです。
新宮~紀伊勝浦はJR西日本の管轄、このわずか20分の距離のために乗務員交代を行うのでどう考えても効率は悪いのですが、なんとか維持されました○
今回の南紀の乗車を見ていても、新宮下車ではなく紀伊勝浦まで乗り通した乗客が多い感じでした。
もし新宮止まりとなると、新宮で乗り換える必要がありますが普通列車の本数も少なく、特急くろしおも5往復に減便されて、更に全車指定席となってしまったので新宮→紀伊勝浦の20分の乗車のためにも指定席特急券を買わなければなりません。
となると、現状通り紀伊勝浦まで乗り入れてくれるとありがたいのですが果たして....
★最後のキハ85に乗って....
6月末に南紀の定期運用から外れるキハ85、恐らく私がキハ85に乗るのはこれが最後でしょう。いや、京都丹後鉄道に譲渡されたやつなら乗れるか....微妙ですね。
特急「南紀」に乗ること自体、私は初めてだったのですが車窓が市街地→山→海と変わり、所要時間の長さもあって本当に遠くに連れて行ってくれているんだなと感じます。
四日市あたりまでは100km前後でキハ85のパワフルな走りを感じることが出来ますし、山間部に入ってからもスピードは出ないものの、エンジンを鳴らしながらグングン進んでいく姿は「ひだ」同様頼もしいですね。
そしてなんといっても新宮~紀伊勝浦の太平洋の眺めは素晴らしいです。
一方で4時間乗りっぱなしというのも鉄道ファンでなければ結構大変ですし、先程も書きましたがこの時代なのでコンセントは欲しい!
キハ85系のこれまでの「活躍に感謝すると共に、紀勢本線沿線は見所もたくさんあるので、HC85系の活躍と紀勢本線沿線が盛り上がってくれると良いなと思っています。
最後までご覧頂きまして、ありがとうございました!
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